一時は最低な人って思われていた翠くんの優しい人柄が、どんどんみんなに浸透していく。
 大好きな翠くんのことをみんなに知ってもらえて、嬉しくてつい顔がほころんだ。
 そこへ、今度は明志くんが翠くんの前に立った。

「羽根村」

 真剣な眼差しの明志くんのオーラに、翠くんが少し身構える。

「……苺花を救ってくれて、ありがとう」

 そう言って頭を下げた明志くんに、その場にいる全員が釘付けになる。
 だってERRORsの総長が、龍乱會の総長に頭を下げているんだから。

「疑ってすまなかった。安護なんかに踊らされて、ろくに真実を確認しようともせず……悪かった。許して欲しい」

 どうしたものかと動揺する翠くんの前へ、今度は蒼依くんが行って明志くんの隣で頭を下げる。

「すいませんでした」

 残る三男のゆずくん。
 ……は、私を後ろから抱きしめてギュッとくっついたまま。

「おい。柚生」

 蒼依くんが叱りつけるようにしてゆずくんを呼ぶ。
 するとゆずくんは、私から離れることはせずに言う。

「…………あざっした」

 不機嫌な声だったけど、ゆずくんなりにちゃんと反省しているのが分かる。