あっけなく去っていった脅威に呆然としてると、翠くんと目が合う。
「っ……、苺花」
大好きな翠くんの姿に、色んな気持ちでいっぱいになって涙が溢れ出す。
「遅くなってごめん」
「翠くん……っ」
怖かった。寂しかった。不安だった。
でも、翠くんは本当に迎えに来てくれた……!
「会いたかった……!」
私をまっすぐに見る翠くんも心なしか泣きそうな顔で、ふら、と腰をあげた。
「いち――
「苺花ぁぁぁぁああ!!」
私の元に来ようとした翠くんを押しのけて、明志くんが私に飛びついた。
「心配したぞ!何もされなかったか!?」
明志くんが涙を流しながら私を強く抱きしめる。
「う、うん……っ」
「おい明志!くっつきすぎ!苺花が可哀想だろ!」
「どの口が言ってんだ柚生。それより苺花の縄ほどくのが先だろ、二人ともどいて」
「蒼依はいつもそうやって大人ぶっていいとこどりしようとする!」
「み、みんな落ち着いて……!」
お兄ちゃんたちが言い合う後ろで、翠くんの元には橙さんたち龍乱會のメンバーが駆け寄っていくのが見える。