不気味な笑い声をあげる安護とその仲間たちに、ゾッとする。
 信じられない。何が面白いって言うの?
 
 映像の中の翠くんはまっすぐな廊下を歩いていて、その角を曲がった先に、武器を持った人が待ち構えている。
 翠くん!危ない……!
 翠くんが角を曲がろうとした瞬間、すかさず待ち構えていた人が武器を振り下ろす。
 それを翠くんは咄嗟によけて、流れるように一人倒してしまった。
 わ、すごい!翠くん、ほんとに強い!
 心の中で感激する私と反対に、安護が煩わしそうに舌打ちをした。
 別角度の映像にうつった翠くんは、また不意打ちをしてくる人たちを順調に倒していくけど、体の大きな男の人三人に奇襲をかけられ、肩を攻撃された。
 翠くんが苦痛に顔を歪めて膝をつくと、男の人三人がかりで抵抗する翠くんを拘束する。

「翠くん……!」
「よーしよし。おら、俺らも行くぞ」
「!?」

 強引に頭に黒い袋をかぶせられたと思ったら抱え上げられ、そのままどこかへ連れていかれる。
 しばらくして再び床に転がされると、袋をとられて視界が開けた。
 暗く、廃れた広い倉庫のような場所。
 そこに、縄で柱に縛り付けられた翠くんがいた。