「見ぃーつけた」
「!」

 すぐ後ろで聞こえた声に反応して、咄嗟に避ける。

「はー、これ避けれるんだ。すご」

 藤堂柚生。
 冷静にも見える藤堂柚生のその目の色は、暗く濁っている。

「なんか顔色悪いみたいだけど、本気でいかせてもらうよ」

 なにか考える間もなく、柚生さんは目を見開いて僕にとびかかった。それをすかさず橙が間に入って、代わりに攻撃を受ける。

「総長!こいつは俺が相手します!」
「は?邪魔すんなよ!」

 柚生さんと応戦する橙になにか返す間もなく、明志さんが僕に殴りかかってくる。
 その攻撃を受け流しながら、話をしようと試みる。