「この街を返してもらうだけだよ」
「返してもらう……?」
「あんたの兄ちゃんがおさめてるこの新合町な、元々俺のもんにしようと思ってたんだよ。それをあんたの愛しの彼にやられちまったからな。取り返すんだ。あんたの兄ちゃんたちに手伝ってもらって」

 お兄ちゃんたちに手伝ってもらってって……

 安護は面白くて仕方ないと言った様子で、ブハッと噴きだした。

「今、龍乱會に潜り込んでる俺の下僕が『お前らの妹は預かった』『取り返せるもんなら取り返してみろ』ってERRORsに声明を出してる。それもご丁寧に〝羽根村翠〟の名義でな!」
「!?」

 そんなことしたら……!

「今頃ERRORsがぶちぎれて龍乱會に総出で乗り込みにいってるだろうなぁ」
「どうしてそんなことするの!?」
「俺、めんどくせぇこと嫌いなんだよ。元気なERRORsと元気な龍乱會で潰し合ってもらって、お疲れのところに俺たち〝New(ニュー)Jesus(ジーザス)〟が登場、そんで……」

 安護は私の前にしゃがみ、親指と人差し指の間に五センチほどの間を作ったかと思えば、

「プチッと。二チームとも死んでもらう」

 つぶした。