あれこれ考えながら横断歩道を渡ろうとしたとき、突然右折してきた車がキキッと私の行く手を阻むように止まった。

「!?」

 黒光りした、大きな高級車。
 その後部座席の扉が開いて、長い足が出てきた。
 大きな耳と高い鼻に丸い大きなサングラスをかけている。

「……!」

 背が高くて、ピアスが耳と、鼻と、眉に。
 サングラスを外したその男の人は、細い目をさらに細め、後ずさる私を見てニヤッと笑った。

「はじめまして。藤堂苺花チャン♪」

 私は初めて見るその人の正体を、察した。

「Jesusの、総長……?」

 その人は私の震える声を聞いて、元々上がっていた口角をさらにあげて不気味に笑った。

「だいせいか~い」

 ゾッとした次の瞬間、私は後ろから何者かに口を押えられ、なにか独特な匂いがしたと思ったらそのまま意識を失った。