ルリの背中をさすりながら、確信する。
 翠くんじゃない。

「ルリ……その人、どんな人だった?」
「暗くてよく見えなかったけど……背が大きくて、ピアスがたくさんついてた。耳と鼻と、あと眉にも」

 やっぱり…!

「ルリ、それ龍乱會の総長じゃないよ……!」
「え?嘘……じゃあ、誰?」
「ねぇルリ。その元カレさん、今はどうしてるの?」
「わかんない。ごめんってメッセージが来て以来連絡とってなくて……私にはモモがいるし、連絡先消しちゃったの」
「そっか……教えてくれてありがとうルリ。嫌なこと思い出させてごめん」
「ううん」

 泣きそうな声で言って首を横に振るルリはまだ震えている。
 事件からだいぶ経つのに今でもこんな怯えるなんて、本当に怖かったんだろう。