「元カレといた時に龍乱會の総長に襲われたって言ってたよね。ルリがJesusのアジトに行った時はどんな状況だったの?」
「……着いた時は、もうみんなやられて倒れてて……酷い有様だった。元カレはまだ無事だったんだけど、私に気付いて逃げろって言った直後に、後ろからバットで殴られて……」

 後ろから、バットで……?

「その殴った人が、龍乱會の総長だったの?」
「うん。その日はJesusメンバーと龍乱會の総長しかいなかったはずだよ。Jesusのメンバーを攻撃するってことは、龍乱會の総長しかありえないでしょ?」

 確かに翠くん本人もJesusを一人で潰したって言ってたし、Jesusの人が、メンバーであるルリの元カレを殴る意味がない。
 でも、翠くんが後ろからバットで殴るなんて……そんな卑怯なことしないはず。

「それで……元カレが気絶した後、ナイフを首元に突きつけられたの。『大人しくしてれば悪いようにはしない』って……たまたま助かったけど、あのままいたらどうなってただろうって……っ」

 ルリはその時のことを思い出したのか、ガタガタと震え始めた。

「ルリ……っ」

 私はその恐怖が少しでも和らぐようにと、ルリを抱きしめる。