「っ……、」

 明志くんがダバーッ!と滝のように涙を流し始めた。

「!?あ、明志くん……!?」
「っ、い$~@☆&%……!!」
「な、なんて?」
「今はそっとしてやんな苺花」

 蒼依くんが男泣きを続ける明志くんに大判のタオルを渡した。
 そうは言っても、私が泣かしちゃった手前、見過ごすことも出来ないからどうしようか困っていると、後ろから手が伸びてきて、抱きしめられる。

「わっ、ゆずくん……?」

 ゆずくんは、ぎゅっと抱きしめる力を強くする。

「もう、前みたいに話せないかと思った」

 そう言うゆずくんの声はすごく切なくて、ケーキを断ってしまった時の罪悪感がよみがえった。
 翠くんに会えない悔しさでいっぱいで、今まで見ないようにしてきたけど……明志くんもゆずくんも、ずっと苦しかっただろう。

「ごめんね、ゆずくん」

 私が言うと、ゆずくんが抱きしめる腕を緩めて顔を覗き込ませた。
 そしてとんでもないことを言った。

「キスしてくれたら許す」
「え!?」