羽根村翠くんと話してみたいって思うようになってしばらく、話しかける勇気なんてないまま、小さな恋心を育てていった。
それから半年ほどたった冬のある日、暗い道を図書館から帰ろうとすると知らないおじさんに話しかけられたことがあった。
おじさんは『中学生?』『この辺に住んでるの?』としつこく話しかけてきた。
そのおじさんのいやらしい目つきが怖くて、速足で歩くけど、おじさんはピッタリと横についてくる。
質問されるとつい真面目に答えてしまう私におじさんは気をよくしたのか、さらに執拗に聞いてくる。
バス停までの五分ほどの道のりがとても長く感じた。
心配性なお母さんに迎えに行くと言われても、五分のために来てもらうのは申し訳なくて断ってしまっていたことをひどく後悔した。
このままバスの中までついてこられたらどうしようって涙目になっていた時、
『待って!』
羽根村翠くんが、声をかけてくれた。
翠くんは驚いて立ち止まる私の元に息を乱しながらやって来て『困ってる、よね?』と聞いた。
コクコクと頷くので精一杯な私に、翠くんは庇うように間に入って『何の用ですか?通報しますよ!』とおじさんに強く言った。
舌打ちしたおじさんがいなくなってすぐ、翠くんは『大丈夫?』と心配そうに声をかけてくれた。
大丈夫です、ありがとうございます、と頭を下げると、『よかった』と、心底安心したように顔を綻ばせてくれた。
その笑顔が可愛くて、かっこよくて、胸がキュンとして。
さっきまでの怖かった気持ちなんてどこかに吹っ飛んじゃってた。
それから半年ほどたった冬のある日、暗い道を図書館から帰ろうとすると知らないおじさんに話しかけられたことがあった。
おじさんは『中学生?』『この辺に住んでるの?』としつこく話しかけてきた。
そのおじさんのいやらしい目つきが怖くて、速足で歩くけど、おじさんはピッタリと横についてくる。
質問されるとつい真面目に答えてしまう私におじさんは気をよくしたのか、さらに執拗に聞いてくる。
バス停までの五分ほどの道のりがとても長く感じた。
心配性なお母さんに迎えに行くと言われても、五分のために来てもらうのは申し訳なくて断ってしまっていたことをひどく後悔した。
このままバスの中までついてこられたらどうしようって涙目になっていた時、
『待って!』
羽根村翠くんが、声をかけてくれた。
翠くんは驚いて立ち止まる私の元に息を乱しながらやって来て『困ってる、よね?』と聞いた。
コクコクと頷くので精一杯な私に、翠くんは庇うように間に入って『何の用ですか?通報しますよ!』とおじさんに強く言った。
舌打ちしたおじさんがいなくなってすぐ、翠くんは『大丈夫?』と心配そうに声をかけてくれた。
大丈夫です、ありがとうございます、と頭を下げると、『よかった』と、心底安心したように顔を綻ばせてくれた。
その笑顔が可愛くて、かっこよくて、胸がキュンとして。
さっきまでの怖かった気持ちなんてどこかに吹っ飛んじゃってた。