しばらく歩くと、龍乱會のジャケットの男二人を見つけた。ジャケットの下にフードを被っていて、顔はよく見えない。
 二人はコンビニに入っていったので、何食わぬ顔で僕もコンビニに入り、彼らを観察する。
 一人がスマホの充電器を手にすると、自然にポケットに入れてそのまま出口に歩き出した。
 思わず声を出しそうになる。
 万引き……!
 眠そうな店員が気付かないのをいいことに、二人組はそのまま外へと出て行く。
 僕はすぐに後を追いかけて万引きした男の肩を掴んだ。

「ねえ。龍乱のジャケット着て何してんの」
「……!」

 男は振り向かないまま、僕を振り払って走り出した。

「待て!」

 全速力で走る二人を、全速力で追いかける。
 街ゆく人がいる中をぶつかるのもいとわずに走る二人と、よけながら行く僕とではどうしても距離が離れていってしまう。
 二人の行く先に一人の小学生の男の子が角を曲がって現れた。

「危ない!」

 逃げる二人のうち一人が、思い切りその小学生にぶつかった。
 小学生は勢いよく転ばされてしまう。