「嘘ですよね!?総長!!」

 嘘であってくれ、と言わんばかりに詰め寄るメンバーたちに、翠くんは静かに、でもはっきりと言った。

「本当だよ」

 当然、メンバーたちはざわめきだす。
 橙さんは気まずそうに口をつぐんでいる。

「お言葉ですが……!義理とは言えあの三兄弟の妹ですよ!?絶対なんか企んでるに決まってるじゃないすか!」

 みんな同じことを思っていたのか、一人が言い出すと口々に言い始めた。

「そうですよ!利用されてるんですよ!」
「龍乱會を地に落とすつもりですか!?」

 そんな……!私、なにも企んでない。純粋に翠くんを好きなだけなのに……!
 立ち上がって出ていきたい衝動に駆られて腰をあげると、蒼依くんが私の手を掴んだ。

「蒼依くん……っ」

 蒼依くんは口を閉ざしたまま、まっすぐに私を見て首を横に振った。
 蒼依くんとの約束を思い出して、グッと堪えてそこへしゃがむ。
 龍乱會の人たちは、さらに翠くんへ詰め寄っていく。

「総長!目覚ましてください!」
「龍乱會を見捨てる気ですか――」