「絶対騙されてますよ、(だい)さん!」

 龍乱會の人の声がした。
 橙さんって、龍乱會で翠くんの一番近くにいた人だ……!

「落ち着け!龍乱會の流儀を忘れたか?何があっても仲間を信頼する。総長なら尚更だ」
「でも……」

 なにやら新入りっぽい人たちと橙さんがもめてるみたいだ。
 そこへ――

「総長が、なに?」

 ……!

 龍乱會の総長、翠くん。
 翠くんは例の特攻服を肩掛けして現れて、一気にその場に緊張が走る。
 一方の私は、久しぶりの翠くんに感激して胸が躍った。
 翠くんが歩いてる!喋ってる!生きてる……!
 相変わらずかっこいい!やっぱり総長の時の翠くん、オーラが凄い……!
 ……ん?
 でも、翠くん疲れてる顔してる……?

 積みあがった箱の上に腰を下ろして手を組む翠くんの元へ、橙さんが申し訳なさそうな顔で近寄った。

「すいません。こいつらが……」
「総長!藤堂三兄弟の妹と付き合ってるって、本当ですか!?」

 ……!

 まさか自分の話題が出てくると思わなくて、思わず声をあげそうになる。