「……わたくしはそれに合格したということでしょうか?」


 ミルドレッドは、自分の推察を聞いてくれたイアンに対して持ち始めていた親近感が薄れていくような気がした。
 ジャーヴィスに話すように、イアンにとうとうと語ってしまった自分が恥ずかしくなった。


 この人も間違った推察を得意気に語ったわたしのことを、レナードと同じように『頭の空っぽな馬鹿な女』だと思っていた?と。
 レナードからのあの罵りは、忘れたくても忘れられなかった。



「合格なんて、そんな風に受け取られたのなら、お詫び致します。
 貴女のご主人への想いや覚悟を知ることが出来て、是非お手伝いをさせていただけたらと、思いました」

「わたくしの、夫への想いや覚悟?」

「そうです、貴女はレイウッド伯爵の汚名をそそぎたいのでしょう?
 愛人や隠し子が居たと言う汚名です」


 それまでの笑みを消して。
 真摯な瞳でそう問いかけるイアンに、真正面から見つめられて。
 ミルドレッドは自分でも初めて気付いた。


 そうだ、夫スチュワートはローラ・フェルドンに名誉を汚されたのだ。