スチュワートからわたしの悪阻の話を聞いた?
 だから、会いに来れない?
 次に会う時には?


 それだけで、頭に血が上ったが、ミルドレッドは懸命に自分を抑えた。



 敢えて、スチュワートの妻を挑発しようとしているのか。
 ミルドレッドが無言で聞いているので、気分を高揚させたのか。
 ローラ・フェルドンは一方的に話し続けた。



「王都でスチュワート様のお世話になっていたんです。
 お家賃も生活費も。
 いつも何ヵ月分かまとめて渡してくれるんですけど、ずっとご無沙汰ですから、今日はわたしからそれをいただきに来たんです。
 ……ミルドレッド様もお気付きでしょう?
 この子は、あのひとの娘です。
 スチュワート様が死んだのなら、これからは奥様のミルドレッド様がメラニーの為に都合を付けてくださいな」

「……家賃と生活費を?」

「そうです、この子を伯爵家の娘にして欲しいとは言いません。
 それがスチュワート様との約束ですからね。
 ただ、これからも変わらずに。
 王都でのわたしと娘の生活を、保障して欲しいだけなんです。
 お金をたくさん持ってる奥様なら、簡単でしょ?」

「……」



 スチュワートの娘を連れてきた余裕からか、ローラは改めて深く座り直して、大きく溜め息をついた。