「……けれど、ずっと考えていたんです、ギャレット様のことを。
 初めて会った日に、亡くなったスチュワートの代わりに、彼の名誉を取り戻すことを示してくださったのは貴方です。
 わたしはあの時、このままではいけない、強くならなければと、希望を持つことが出来ました」

「あ、あれは……俺が言わなくても。
 貴女なら、最終的にはご自分で……」


 エリンに注意されてから、自分のことを『私』に、改めた。
 特に、ミルドレッドの前では、気を付けていた。
 それなのに、貴族になりきれない自分をさらけ出してしまった。
 
 ……自分がいざと言う時に、何もかもが思い通りに出来ない男だと改めて思い知った。

 
「いいえ、それからもずっと。
 ギャレット様に助けていただくばかりなんです。
 スチュワートのことを忘れられないと言いながらの、随分勝手な言い分なのは、分かっていますけれど。
 彼以外のひとと人生を共にするのなら、わたしは貴方しか嫌なんです。
 その気持ちが愛なのか、寂しさから逃れたいのか、判断出来ないわたしですけれど。
 お願いです、わたしの側から居なくならないで」

「勿論です!
 俺でいいなら、絶対にずっとずっと居ます、絶対に!」