スチュワートの死から2年が経過して、ミルドレッドの喪失感が少しだが薄れだした頃。

 ジャーヴィスから、今年もイアン・ギャレットを聖誕祭から年越しまで、ウィンガムに招待したと告げられた。
 彼がマーチ邸で冬休暇を過ごすのは、これで3年連続になる。



「あー、ミリーも多分気付いているだろうけれど。
 今、イアンは一生懸命慣れない自分に……努力している。
 それは君の為だ」

「……慣れないご自分に……」


 兄らしくない、そのあやふやな物言いに。
 イアンについて、これから大事な話をされるのだろうと、ミルドレッドは緊張した。


 そう、ミルドレッド自身も気付いていた。
 この1年半、何度もウィンガムまで自分に会いに来てくれたイアン・ギャレット。
 2年前の大晦日に話した仕事についても、真剣に相談に乗ってくれた。
 約束した通りに調査もしてくれた上で、別の視点から一歩計画を進めてくれたのも、彼だ。
 それは来年の夏から始まることになっていた。



 イアンにここまでして貰っていて、ジャーヴィスから気付いているだろうと指摘されると。