若干エリンに煽られて乗せられてる感は否めないが、それでもそう言葉にして大声を出すと、そんな気になってくる。


 この世でミルドレッドを幸せに出来るのは、俺だけだ。
 スチュワートよ、どうかあの世でそれを見守ってくれ!



 エリンが、満足気に頷いた。


「その心意気で参りましょう。
 これから忙しくなりますわね?
 お洋服だけでなく、貴方の社交界デビュー、わたくしが全てプロデュースして差し上げます。
 貴族特有のどうでもいい会話の切り上げ方、くだらない派閥、全てお教え致します。
 まずは、その俺?
 貴族らしく私と、ご自分のことを言う練習もなさらないと」


 王太子妃殿下お気に入りの専属デザイナー、エリン・マッカートニーが。
 資産だけはあるが、平民のイアン・ギャレットの後ろ楯に着いた瞬間だった。



「貴方の言葉遣いには、他にも気になるところがございます。
 けどと、おっしゃるでしょう?
 けれどに、変えてくださいな。
 ますは、います、です」

「……けれど、います、ですか」

「こうるさい女だと思われるでしょうけれど、社交界では言葉ひとつが命取りになりますわ」

「……ご指導よろしくお願いしま……致します」