テリー・スミスがローラ・フェルドンの勤務先を教えてくれたのは、男性の哀しい性……綺麗な女性の役に立ちたい、だし。

 
 訪ねたのがジャーヴィスと、ふたりだけだったら。
 スミスと別れた後は北区を回り、ウィラードのその後を知っている人間を探し。
 ジャーヴィスのお貴族様パワーが仇となり、北区民の警戒心を呼び起こして。
 マッカートニーに辿り着くまで、どれ程時間がかかったろう。


 エリンにしても、話は聞けても、ただそれだけだ。
 あの誓約書が手に入ったのは、スチュワートの妻が居たからだ。
 エリンの性格では、ジャーヴィスにさえ預けたか……
 それは分からない。


 とにかく今回に関してだけは、ミルドレッドが果たした役割は大きかった。

 彼女の調査員としての適正は✕を付けるしかないが、今回は貴女のお陰で解決が早かったと伝えると、ミルドレッドは嬉しそうに頬を染めた。



「お仕事を探されているんですか?」

「はい。それで聞いていただけますか?」

「勿論です」


 ミルドレッドが何か仕事がしたくて、それで自分に相談をしてくれるのなら。
 あらゆることで、その手伝いをしたいとイアンは思っている。



「わたしマナースクールを卒業したんです。
 あれを個人的に出来ないかしら、と」

「個人的に?」