だが、その希望も……もう無くなった。
自分ひとりが残されるのだ、ここに。
◇◇◇
未だにレナードだけが、足掻いている。
「メラニーはスチュワートの姪だ。
アダムスの人間だよ、ミリー、俺とふたりで育てるのが筋じゃないか?」
「いいえ、レナード様。
貴方のお手は煩わせません。
メラニーちゃんの後見権利は、お義父様から旦那様、それからわたくしに移っています。
ギャレット様、彼にウィラード様とお義父様との誓約書をお見せしてくださいませ」
とうとう自分にも、当主夫人からご指名が入った!
イアンが張り切って、持ち込んだ書類の中から例の誓約書を探しだして、レナードに渡した。
「ちゃんとご覧くださいね。
ウィラード様は、アダムスとは関わらないと、はっきり明記しています」
ミルドレッドはレナードにそれだけを言うと、今度は立ち上がったユリアナに向き合った。
メラニーは既にジャーヴィスに抱かれて、ふたりで何かおしゃべりをしている。
「お願いがあるの、ドレッシングルームに旦那様からいただいたマッカートニーの長手袋があるわ。
あれだけでいいから、持ってきて……」
その最後まで自分をちゃんと見てくれない彼女に、レナードが声を荒げた。
何度後悔しても、また同じことを繰り返すレナードは、本当はメラニーのこと等どうでも良くて、ただ引き留める理由にしたかっただけなので、誓約書もイアンに押し付ける。
自分ひとりが残されるのだ、ここに。
◇◇◇
未だにレナードだけが、足掻いている。
「メラニーはスチュワートの姪だ。
アダムスの人間だよ、ミリー、俺とふたりで育てるのが筋じゃないか?」
「いいえ、レナード様。
貴方のお手は煩わせません。
メラニーちゃんの後見権利は、お義父様から旦那様、それからわたくしに移っています。
ギャレット様、彼にウィラード様とお義父様との誓約書をお見せしてくださいませ」
とうとう自分にも、当主夫人からご指名が入った!
イアンが張り切って、持ち込んだ書類の中から例の誓約書を探しだして、レナードに渡した。
「ちゃんとご覧くださいね。
ウィラード様は、アダムスとは関わらないと、はっきり明記しています」
ミルドレッドはレナードにそれだけを言うと、今度は立ち上がったユリアナに向き合った。
メラニーは既にジャーヴィスに抱かれて、ふたりで何かおしゃべりをしている。
「お願いがあるの、ドレッシングルームに旦那様からいただいたマッカートニーの長手袋があるわ。
あれだけでいいから、持ってきて……」
その最後まで自分をちゃんと見てくれない彼女に、レナードが声を荒げた。
何度後悔しても、また同じことを繰り返すレナードは、本当はメラニーのこと等どうでも良くて、ただ引き留める理由にしたかっただけなので、誓約書もイアンに押し付ける。