イアンが事情を話すと言ったので、リチャードは慌てて家令のハモンドに席を外すように命じた。


 ミルドレッドから聞いた話では、アダムスの使用人達は、スチュワートの両親の離婚後全て入れ替えられたと言う。
 ハモンドとて、一族の男だ。
 本家に双子が誕生した場合の処理の仕方は知っているはずだ。
 それなのに、ここまで秘密主義を貫くのは、何故なんだ。

 イアンは、リチャードの面の皮を剥がしてやりたくなった。
 


「秘密を共有するのは家族のみと、アダムス子爵が仰せなら。
 私の義妹マリーと、この家の孫であるメラニー嬢も、呼んできて貰えるかな」

「メラニーちゃんは、何処に居るの?
 嫌がるようなら、無理に連れてこなくてもいいから。
 わたくしが後から会いに行きます」


 ジャーヴィスがいけしゃあしゃあと、部屋を出ていくハモンドに惚けて頼むのを、リチャードは忌々しそうに見ている。

 この場では一番立場が上のミルドレッドが、そう命じるのなら、それは守らなくてはならない。
 ハモンドは、恐らく……と断ってから、メラニーの居場所を口にした。