あぁ、やはり……と。
 3人の中でカールトンだけが、逸早く理解した。

 またこのふたりは、大人達によって昔から決められている物事を、ひっくり返してやろうと企んでいる。
 そして、それは必ず成功する、今度も。



 ふたりの反抗が学院を揺るがした頃とは違い、ジャーヴィスもギャレットも、そして自分も既に大人になっているのに、カールトンはそう理解した。

 

「マリー? あの女はローラだろ!」

「義妹の本名はマリー・ギルモアで、ローラの幼馴染みです。
 本人に、何故ローラの名を騙ったのか尋ねたら。
 自分はただ彼女の名前を出しただけで、どういう訳か、ローラだと思い込まれてしまった。
 そうなった以上は、ローラのままでいた方がウィラードの娘であるメラニーを守るのに都合がいいだろうから、と。
 仕方なく母親を演じていたらしくて、許してやって貰えませんか。
 彼女は王都から遥々レイウッドまで、当主の姪であるメラニー嬢を送り届けた、善意の第三者なんですから。
 その心根の素晴らしさに、思わず私の義妹になって欲しいと、お願い致しまして」


 特に感情をこめることもなく、しれっと説明するジャーヴィスに、もう少し演技すればいいのにと、イアンは心の中で笑った。


「何、 何を言ってる?
 ミリー、君の兄貴は何を言ってる?
 養女にしたって……あの女と結婚? 
 あのチビが誰の娘だって?
 スチュワートの姪?
 ちゃんと説明してくれ!」


 レナードは情報量の多さに混乱して、馬鹿だと罵ったミルドレッドに助けを求めた。