「はーい、そこまで!」
 高橋先生が手を叩く。

 葵は輪郭しか描けてない紙を見てガッカリする。推測ではあるが謎は解けた。
 しかし授業の課題はクリアしなかった。そこに高橋先生がやってきた。

「おしゃべりしてたからでしょ」
「はい、その通りです」
 葵はしょんぼりして紙を見せる。
「まぁ、遠目から見たら手ですね。これも芸術の一つ……次からはもっと身体の内側から表現できるようにね」
 と微笑んだ。葵たちは意外と優しい先生なんだな、と高橋先生の意外な一面を見たと思ったが……。

「廊下走ったことの罰も含め明日までに何かを模写して描いてきなさい」
 と微笑みの奥には恐ろしい課題が待っていたことに葵は肩を落とした。クラスメイトは知らない顔してスタスタ去る。希菜子は葵にドンマイ、と声をかけた。


「せっかくならあの理科室行って人骨模型描くかー」
 結局は希菜子に描かせるつもりだが。二人は教室に戻って昼ごはんを食べた後、理科室に向かった。

「やっぱ葵、気になるんでしょ。先生に頼んで出してもらって写真をスマホで撮影して一緒におうちで描こうー」
「希菜子も描くんだ」
「絵を描くのは好きなんだもん」
 と話しているうちに理科室に着く。すでに明かりがついていた。そして誰かがいた。ドアを開けると

「あっ、下石さんたち」
 そこにいたのは御嵩先生と、なんと校長もいたのだ。