先生たちや、在校生に見送られて、あたしたちは卒業した。
最後に、みんなで写真をとったり、喋ったりした。
目の前にある校門から出たら、あたしたちは卒業生で、外部の人間になっちゃう。
出たくなかった。
あたしは、最後の最後まで残って、帰った。
友達と思い出話に花を咲かせながら。
紫苑へ
卒業おめでとぉ。
記念品授与、かなりかっこよかったよ。
あたしは紫苑に出会って
何回笑っただろう。
何回涙を流しただろう。
分かんないね。
シカトされたのは、悲しかったけど、その後話せたのは、とっても嬉しかった。
今までのこと、全部、全部いい思い出です。
笑いあったこと
喋ったこと
一緒に遊んだこと
勉強教えてもらったこと
噂になったこと
シカトされちゃったこと
紫苑を思って涙を流したこと
本当にいろいろあった。
それでも
どんな紫苑でも
好きだったよ。
ありがとう
中学生になっても、よろしくね
4月1日
新聞を読んで、先生の転勤を調べた。
あたしたちがお世話になった、校長先生が転勤だった。
あたしは、みんなを呼んで、小学校の離任式にいこうと思った。
そして、みーちゃんといろんな人の家を回った
みーちゃんの友達のマンションに行った。
名前は裕芽(ユメ)ちゃん
裕芽ちゃんのマンションは紫苑も住んでいた。
裕芽ちゃんの家に行って、そのまま下の階にいって紫苑の家についてしまった。
嬉しかったけど、まわりには嫌いって言ってたから、大変だった。
『ウチ、お母さんと仲いいけん。いつ行っても良いもん』
みーちゃんが言った。
仲良いんだ。
ピーンポーン
紫苑が出た。
『野川と山西と上田です!!』
『何の用?』
低い声で紫苑が言った
『話がありま~す』
と裕芽ちゃん
『それ重要?』
『出来れば来てくれん?』
あたしが初めて口を開いた。
『う~ん。分かった』
やっと出て来てくれた。
今まで寝てたのかな?
髪がはねてる。
ちょっと可愛い。
だけど、嫌いって言ってたからずっと後ろを向いていた。
『あんね!!校長先生が!!!』
『4月5日の9時から!!!』
しばらく黙って聞いてたけど
『うるさい!意味分からん。奥に親おるっちゃけど!』
怒っちゃった
『みーちゃんたちさぁ、言ってる事2人違うけん分からんよ。』
『はい…』
『校長先生が学校移動やけん、最後にお見送りしたいけん4月5日の9時に体育館に来れたら来て』
それ以上は何も言わなかった
『わかった。それだけ?』
『うん!!あと友達に回して、いっぱい呼んでね!』
そして紫苑は帰っていった
久しぶりの紫苑。
しかも家。
まぁ怒っちゃったけど。
来てくれるかなぁ。
そして当日。
女子はもちろん、男子もたくさん来ていた。
紫苑から繋がって行ったのかな。
紫苑。ありがとう
校長先生も6年一緒に過ごしたあたし達に見送られて、きっと喜んでるよ。
とうとう入学式
あたしは鏡の前から動かなかった。
初めて着る制服がおかしくないかずっと確かめていた。
セーラー服のスカーフの形や髪型
気になってしょうがなかった。
ピーンポーン
『琴音(コトネ)と智嘉(チカ)だ!』
智嘉は2年生ぐらいからの友達。
琴音は5年生の時に転校してきてからの友達。
いつも3人でほぼ毎日遊んでいた。