あたしは、それからも紫苑を思い続けていた。



そして、春休みが終わった。


またクラス替え。


同じクラスになりたいと、強く願っていた。


そしてついにクラス替えが行われた。


『3年1組上田夏姫』
1組だった。

『3年2組河嶋紫苑』



あ~あ


違うクラスか。


つまんない。

つまんない



これから一年間

紫苑はあまり見れないんだ


紫苑と話すこともなくなるんだ


紫苑と笑うこともできなくなるんだ


これから一年間、どうやって過ごそうか。



そういえばあたし、紫苑に出会ってから、たくさん笑うようになったなぁ…


ってかちょっとしたことでもすぐに笑うようになった



一日の半分以上笑ってる笑い上戸なあたしも紫苑が作ってくれたのかもしれないね


あっという間な3年生。

というか記憶がない。

担任の先生の名前さえ出てこない。

ホントにつまんなかった。

つまんないあっという間な3年生が終わって、4年生になった。


またクラスは違った。


ショックだったけど、もう慣れてしまっていた。


だけど、4年生が始まって、2週間ぐらい経った頃、あたしの耳にある噂が入って来た



『野川さんって紫苑と付き合ってるらしいよ』



野川海穂(ノガワミホ)


紫苑の幼なじみでかなり仲良し



みーちゃんと紫苑なら、有り得ないことじゃなかった。



あたしはすっかり信じ込んだ。



紫苑は嫌がってるように見えなくもないが相変わらず仲良しのみーちゃんと紫苑。



羨ましかった。


ちょっと嫉妬しちゃったんだ


いや、かなり嫉妬しちゃった

しかしそんな噂も早く消えた。


だけど、あたしの中のモヤモヤは消えなかった。

あっという間に2学期になった。


2学期は、ボランティアがある。


耳の障害、目の障害、子供たちの3つにわかれて行われた。


あたしは耳の障害になった。

ボランティアなんかまじめにするつもりなかった。


初めての授業の時


指定された教室に入ったあたしの目を釘付けにしたのは



紫苑の笑顔


いるとは思わなかった。

あたしは黒板に貼ってある座席表をみた。



河嶋の隣りに


上田


大好きな人の横に、自分の名前



あたしは静かに座った。

『はい。これからのグループを発表します』

一緒になれたらいいなぁ~

この程度だった。


期待したら、慣れなかったときのショックが大きいから。


『3班~上田さん、大野さん…』


実津希も一緒かぁ~


『あっ!あと河嶋君』


えっ!?


河嶋?


河嶋って、河嶋紫苑?


またあの時と同じ


2年の時も席替えで理解できなかったっけ。


『なっちゃん!』

大好きな声。


前と同じ呼び方で呼ぶのは


紫苑だ


やっと理解した。

あと半年、クラスは違うけど、一緒の教室で、同じことを、同じ班で学べる。


『大野!』


そっか。


実津希もいたんだ。


でもあれっ?


名字で呼んでる。


前まで、名前で呼んでたのに。


『あっ!班長は女子でやっとって。俺メンドイのいや』


『はぁ?河嶋がしろ!』

ん?実津希も名字で呼んでる。