隣の席の徳大寺さんは、少し変わっている。
およそ女子高生が読むとは思えないようなジャンルの本を、いつも読んでいる。
徳大寺さんが今日読んでいたのは、モンゴルに関する本だった。
下校時に、なぜモンゴルなのかを尋ねてみた。
「モンゴル人のお名前の響きが、とても好きなの。たとえば、朝青龍の本名、ドルゴルスレン・ダグワドルジ。何度も繰り返し言いたくならない?」
確かに、強い魔法の詠唱のような感じで、何度も言いたくなる。
「モンゴル人力士の名前は、すべて覚えたわ」
「へぇ、すごいね。じゃあ、白鵬翔の本名は?」
「ムンフバティーン・ダワージャルガルね」
「照ノ富士春雄」
「ガントルガ・ガンエルデネ」
「玉鷲一朗」
「バトジャルガリーン・ムンホルギル」
「逸ノ城駿」
「アルタンホヤグ・イチンノロブ」
「霧馬山鐵雄」
「ビャンブチュルン・ハグワスレン」
脊髄反射のように、スラスラと出てくる。さすが、徳大寺さんの記憶力だった。
「すごいね、僕なら舌を噛んじゃいそう」
「タチバナンヤグ・ケンスケルゲルも、なかなかの相撲通ね」
「え?」
「あ、ごめんなさい。クラスの人たちにモンゴル名をつけて遊んでいたのよ。橘謙介くんだから、タチバナンヤグ・ケンスケルゲル」
「なんだか、とっても強そうな名前になったね」
「ちなみに、金子先生はカネコンゴルン・ユズルバトよ」
金子譲という担任の先生の名前が、とても威厳がある将軍のようなものになった。明日からは敬おう。
それから徳大寺さんは、クラスメイトに名付けたモンゴル名をひとつひとつ挙げていってくれた。
やっぱり、隣の席の徳大寺さんは、少し変わっている。
ちなみに、「徳大寺朱莉」のモンゴル名は「トクダイジードル・アカリンツェグ」だった。
およそ女子高生が読むとは思えないようなジャンルの本を、いつも読んでいる。
徳大寺さんが今日読んでいたのは、モンゴルに関する本だった。
下校時に、なぜモンゴルなのかを尋ねてみた。
「モンゴル人のお名前の響きが、とても好きなの。たとえば、朝青龍の本名、ドルゴルスレン・ダグワドルジ。何度も繰り返し言いたくならない?」
確かに、強い魔法の詠唱のような感じで、何度も言いたくなる。
「モンゴル人力士の名前は、すべて覚えたわ」
「へぇ、すごいね。じゃあ、白鵬翔の本名は?」
「ムンフバティーン・ダワージャルガルね」
「照ノ富士春雄」
「ガントルガ・ガンエルデネ」
「玉鷲一朗」
「バトジャルガリーン・ムンホルギル」
「逸ノ城駿」
「アルタンホヤグ・イチンノロブ」
「霧馬山鐵雄」
「ビャンブチュルン・ハグワスレン」
脊髄反射のように、スラスラと出てくる。さすが、徳大寺さんの記憶力だった。
「すごいね、僕なら舌を噛んじゃいそう」
「タチバナンヤグ・ケンスケルゲルも、なかなかの相撲通ね」
「え?」
「あ、ごめんなさい。クラスの人たちにモンゴル名をつけて遊んでいたのよ。橘謙介くんだから、タチバナンヤグ・ケンスケルゲル」
「なんだか、とっても強そうな名前になったね」
「ちなみに、金子先生はカネコンゴルン・ユズルバトよ」
金子譲という担任の先生の名前が、とても威厳がある将軍のようなものになった。明日からは敬おう。
それから徳大寺さんは、クラスメイトに名付けたモンゴル名をひとつひとつ挙げていってくれた。
やっぱり、隣の席の徳大寺さんは、少し変わっている。
ちなみに、「徳大寺朱莉」のモンゴル名は「トクダイジードル・アカリンツェグ」だった。