「女の子達の友情……美しいわぁ……」

 感涙で頬を濡らしたクローディアが、少女達を慈しむように一まとめに包み込んだ。
 夕日に染まっていた世界が、ゆっくりと夜に侵食され始める。
 濃紺の空にぽつりと一つ、小さな星も姿を現した。
 冷えた風にヒゲを撫でられて、ぷしゅん、とマンチカン伯爵がくしゃみをする。
 それを合図に、女性陣を代表するみたいにイヴが口を開いた。

「お願いが、あります」

 彼女のコーヒー色の瞳が、じっと見つめる。
 保護者である兄オリバーでも、年長者であるマンチカン伯爵でもなく、この場で最も位の高い──そして、いつも自分に対して心を砕いてくれる頼もしい相手を。

「今後しばらくは、こうしてルーシアさんと会うのが難しくなるかもしれません。今夜は、もう少しだけ一緒にいさせてください」

 この健気なお願いに、ウィリアムが否と答えるはずがなかった。