「ほ、本当に……決闘じゃ、なかったんだぁ……」

 さすがにここまでくると、ジュニアも自分の心配が杞憂だったと認めずにはいられなくなった。
 脱力した彼は草原に尻餅をつくと、はーっと盛大なため息を吐き出す。
 夕日は、すでに半分が山際に隠れてしまっていた。
 イヴの側に座って一連のやりとりを見守っていたウィリアムが、猫耳をぺしゃんと伏せたジュニアに笑いが滲んだ声をかける。

「納得したか?」
「はい、まあ……いやでも、もう日暮れですよ? こんな時間からお茶会なんて、普通します!?」

 これはジュニアの言う通りで、ウィリアムも疑問を抱いていたことだ。
 間もなく夜の帳も降りようという山の中腹で、飲み会ならまだしも、お茶会とは。

「イヴ、どうしてこの時間にこんな場所で集まることになったんだ?」

 ウィリアムが改めて問うと、イヴはルーシアとロメリア、そしてクローディアと顔を見合わせてから、いつになく硬い表情で彼を見上げて言った。