「この泥棒猫! 恥を知りなさい!」
「言いがかりはやめてよ、女狐っ!」
午後のお茶の時間である十五時を少し回った頃のこと。
若い侍女が二人、『カフェ・フォルコ』のカウンターの真ん前で睨み合っていた。
「えええ……?」
イヴはただ呆然と、侍女達の凄まじい形相を見比べるばかり。
通りかかった人々も何事かと顔を見合わせていた。
泥棒猫と女狐──ぶつけ合う罵倒はまったくもって褒められたものではないが、侍女達の属性という意味では間違ってはいないかもしれない。
というのも、彼女達はそれぞれヤマネコ族とキツネ族の獣人の先祖返りであり、両人とも獣の耳と尻尾持ちだったのだ。
どちらもなかなかの美人である。
そんな侍女達がついに取っ組み合いを始めようとしたところで、ようやく我に返ったイヴが慌ててカウンターと飛び出す。
「ま、待って! お二人とも、落ち着いてくださ──ふぐっ……」
どうにか二人の間に割り入ったものの、彼女達の豊かな胸に挟まれてムギュッと押しつぶされる羽目になった。
「言いがかりはやめてよ、女狐っ!」
午後のお茶の時間である十五時を少し回った頃のこと。
若い侍女が二人、『カフェ・フォルコ』のカウンターの真ん前で睨み合っていた。
「えええ……?」
イヴはただ呆然と、侍女達の凄まじい形相を見比べるばかり。
通りかかった人々も何事かと顔を見合わせていた。
泥棒猫と女狐──ぶつけ合う罵倒はまったくもって褒められたものではないが、侍女達の属性という意味では間違ってはいないかもしれない。
というのも、彼女達はそれぞれヤマネコ族とキツネ族の獣人の先祖返りであり、両人とも獣の耳と尻尾持ちだったのだ。
どちらもなかなかの美人である。
そんな侍女達がついに取っ組み合いを始めようとしたところで、ようやく我に返ったイヴが慌ててカウンターと飛び出す。
「ま、待って! お二人とも、落ち着いてくださ──ふぐっ……」
どうにか二人の間に割り入ったものの、彼女達の豊かな胸に挟まれてムギュッと押しつぶされる羽目になった。