「はははっ! 我らの息子は前途多難だなぁ!」

 私がメルさんと一緒に訪ねてきた時には、すでにこの部屋にいた国王様である。
 王妃様のハーブ小屋の中には、簡素なベッドが一台置かれていた。
 国王様はそれにうつ伏せに寝転んでおり……

『おうおう、おっさん。ここか? ここがええのか?』

 その腰を、ネコがクリームパンみたいな前足を揃えてふみふみしていた。

「あはー……いいねぇ、おネコちゃん……これは、たまらんなぁー……」
『ぬはははははっ! ちょろいっ! ちょろすぎるわっ! 我に踏みつけられてこの様とは、国王もかたなしじゃなっ!!』

 魅惑の肉球マッサージに、ギックリ腰を患う国王様もご満悦の様子である。
 彼はしばしうっとりとしていたが、やがて顔だけ私の方に向けて問うた。

「おタマちゃんは、ミケランゼロをどう思う? あれは、君の目から見てどんな人間かな?」
「ミケは……誠実で責任感が強くて、とても頼もしい人だと思います。でも……」
「でも?」
「私みたいな部外者が口を挟むべきではないとは思いますが……いろいろ背負い込み過ぎている気がして、心配です」

 私の答えを聞いた国王様は、そうか、と笑って頷く。
 それからベッドの上に起き上がり、ネコを膝に乗せて撫でながら話し始めた。

「あれが背負い込み過ぎるのにはな、理由があるのだよ」
「──陛下」