大股で部屋の中に入ってきたのは、ミケだった。
彼は、扉の前でおろおろする衛兵にも、慌てて頭を垂れる侍女にも目をくれず、一直線に私の方に歩いてくる。
そうして、二の腕を掴んで後ろに下がらせると、トラちゃんとの間に立ち塞がった。
トラちゃんは昏い目でミケを見上げ、どこか投げやりに呟く。
「僕がタマコと一緒にいるのが、許せないんだね。僕が──タマコを刺したから」
半年前。
ベルンハルト王国とラーガスト王国の最終決戦において、ミケを暗殺しようとベルンハルト王国軍本陣に飛び込んできたのは、トラちゃんだった。
彼の突き出したナイフは、ミケではなく、ちょうどその膝に異世界から転移してきたばかりの私に刺さったのである。
彼は、扉の前でおろおろする衛兵にも、慌てて頭を垂れる侍女にも目をくれず、一直線に私の方に歩いてくる。
そうして、二の腕を掴んで後ろに下がらせると、トラちゃんとの間に立ち塞がった。
トラちゃんは昏い目でミケを見上げ、どこか投げやりに呟く。
「僕がタマコと一緒にいるのが、許せないんだね。僕が──タマコを刺したから」
半年前。
ベルンハルト王国とラーガスト王国の最終決戦において、ミケを暗殺しようとベルンハルト王国軍本陣に飛び込んできたのは、トラちゃんだった。
彼の突き出したナイフは、ミケではなく、ちょうどその膝に異世界から転移してきたばかりの私に刺さったのである。