「わわっ……ちょっ、ちょっと……!?」

 大きな手に腕を掴まれたかと思ったら、ぐいぐいと部屋の奥へ引っ張られる。
 上座に置かれた椅子に座り直し、当たり前のように私を膝の上に抱え込んだその人は、他のメンバーとは異なり淡い灰色の軍服を纏っていた。
 年は、私より五つ上。
 金髪碧眼のすこぶる整った見た目をしているが……

「きょ、今日はまた一段と濃い隈を装備してらっしゃる……」

 最初に扉を開けてくれた男性の体で隠れてしまい、ここまで私の視界に入ってこなかった第七の人物──いや、むしろ第一の人物と言うべきだろう。
 なにしろ彼は、この場で誰よりも重要な立場にあるのだから。
 満を持して登場したその人は、モフモフに夢中になっているおじさん達を尻目に……
 
「──タマ、吸わせろ」

 大真面目な顔をして、とんでもないことを宣った。