私が王妃様と催したのは文字通りの女子会だったが、ミケと国王様──現在国軍の全権を任されている王子と療養中とはいえ国家のトップが、ただ愉快にさし飲みをしていただけとは考えにくい。
 きっと、戦後処理や国防に関わる重要な話し合いがなされたのだろう。
 私は目の前の金髪を、それこそマンチカンの方のミケにしていたみたいに丹念に撫でた。
 
「ミケさん、すごいねぇ、えらいねぇ。いい子いい子」
「なんだどうした。急に褒められたな?」
「人一倍仕事をして、お酒の付き合いにも参加して、さらに私の面倒まで見てくれるなんて……ミケはえらい! 百億万点!」
「ははっ、思わぬ高得点がもらえて恐悦至極」

 黒い綿毛がミケから舞い上がり、私は一刻も早く彼から遠ざけようと手で振り払う。
 ふわふわと宙を舞うそれらは、ネコの背中に乗っていた子ネコ達がぴょんぴょん飛び跳ねて食べてしまった。

「不思議だな……タマといると、体も心も軽くなるような気がする」

 ミケが小さなため息とともに呟く。
 今まさに私をおぶってくれているこの背には、いったいどれほどの責任がのしかかっているのだろう。
 自分自身の限界は無視してしまいがちなミケが、私は心配でならなかった。
 逆に、前を行くネコは振り返ってほくそ笑む。