「あらあら、いらっしゃいませ、おネコさん。撫でてもよろしいかしら?」
『うむ、くるしゅうない! 好きなだけモフるがよいぞ! ママ友同士、仲良くせねばなっ!』
「まあまあ、なんて素敵なモフモフ……癒されるわぁ」
『ぬははは! そうであろうとも! 我ほど愛すべきものは、そうそうおるまいっ!』

 この日の昼間もハーブのキャンディを作っていたように、お菓子作りと薬草を育てるのが趣味な王妃様は、白魔女っぽい雰囲気がある。
 彼女にもネコのダミ声は聞こえないはずなのだが、不思議と会話が成立していた。
 ネコと穏やかに触れ合う王妃様に、国王様が子供みたいに唇を尖らせる。

「いいなー、いいなー、私もおネコちゃん抱っこしたいなー」
「うふふ、陛下はしつこく構うから嫌われるのですわ。おネコさんにも子ネコさん達にも──おタマちゃんにも」
「──えっ!? ま、待ってほしい! おネコちゃんと子ネコちゃん達は自覚はあるが……おおお、おタマちゃんまで!? おタマちゃん、そうなの? どうなの!?」
「いえ、別に国王様のこと嫌いじゃないですよ。しつこいとは思いますが」

 メンタル超合金の国王様からは、糧となる黒い綿毛がほとんど収穫できないらしく、ネコ達に全く人気がない。
 私のフェロモンしか効かないミケやロメリアさんも、モフモフ達からあまり期待されていなかった。
 一方、王妃様とメルさんは明らかに彼らに好かれている。
 二人とも常に穏やかで慈愛に満ちた微笑みを浮かべているため、一見負の感情とは無縁のように思えるが……