「「「「「かぁああわいいいいっ!!」」」」」


 これを皮切りに、重厚な扉の内側はたちまち猫カフェっぽい空間に早変わりする。

「うふふふ、おいでー! おじさんと遊ぼうにゃん!」

 絨毯の上に這いつくばり、リズミカルに猫じゃらしを揺らして子ネコを誘う、ロマンスグレーの髪と口髭のイケてるおじさん。

「あははは、上手だねー! よーし、おじさんとてっぺん目指そう!」

 同じく絨毯に両膝を突いて、子ネコとボールを転がし合いっこするのは、額に向こう傷がある強面のおじさん。

「チュウチュウ! チュウチュウチューッ!!」

 軍服の袖口から鼠のぬいぐるみを覗かせて子ネコを誘う、メガネをかけたインテリヤクザっぽいおじさんなんて、人語を忘れてしまった。

「わーい、わーい! たっのしーいっ!!」

 長テーブルと椅子の間で子ネコとかくれんぼうをする、黒髪をオールバックにしたおじさんは、童心にかえりすぎだろう。

「えへへへへっ! ほぉら、おじさんを捕まえてごらぁーん!」

 スキンヘッドで強面のおじさんが、傷付いて飛べない鳥を演出するため床に寝転がり鳥のぬいぐるみをジタバタさせているのは、さすがに止めた方がいいだろうか。

「うふふふ……いいにおいがすりゅ……」

 最後に、ブリティッシュロングヘアっぽいネコのお腹に顔を埋めてスーハーしている男性──扉を開けてくれた一際ムキムキの彼は、まだおじさんと呼んでは気の毒かもしれない。
 ネコは何とも言えない表情をしてこちらを見つめてくるが、子ネコ達の方はおじさん連中と一緒になって大いにはしゃいでいた。