凛として美しい──しかし、三人の令嬢達よりもさらに高慢そうな声がその場に響いた。
聞き覚えのあるそれに、私がぱっと背後を振り返る一方、令嬢達はたちまち身を硬らせる。
「こんにちは、ロメリアさん」
「「「ロ、ロメリア様……」」」
バラのトンネルから、二人の女性が現れた。
声をかけてきたのは、満開のバラさえ引き立て役にしてしまいそうなほど、とにかく美しい人だ。
緩くウェーブのかかった長い金髪に、エメラルドみたいな翠色の瞳。肌なんてまるで陶器のようで、精巧に作られたフランス人形を彷彿とさせる。
しかも、レースだらけのフェミニンなドレスではなく、腰がきゅっと締まった濃紺の軍服風ドレスなのがとにかく目を引く彼女の名は、ロメリア・ミットー。
先ほど一緒にお茶をした、ミットー公爵の長女で准将の妹──さらには、現在ミケの結婚相手として最も有力視されている女性だ。
ひっつき虫だらけの令嬢達よりずっと身分の高いロメリアさんは、じろりと私を見て言った。
「邪魔ですわね。そこをおどきなさい」
「あっ、ごめんなさい!」
慌てて道を開けると、彼女は編み上げブーツの踵をコツコツ鳴らして横を通り過ぎていく。
固まる令嬢達には、目もくれなかった。
聞き覚えのあるそれに、私がぱっと背後を振り返る一方、令嬢達はたちまち身を硬らせる。
「こんにちは、ロメリアさん」
「「「ロ、ロメリア様……」」」
バラのトンネルから、二人の女性が現れた。
声をかけてきたのは、満開のバラさえ引き立て役にしてしまいそうなほど、とにかく美しい人だ。
緩くウェーブのかかった長い金髪に、エメラルドみたいな翠色の瞳。肌なんてまるで陶器のようで、精巧に作られたフランス人形を彷彿とさせる。
しかも、レースだらけのフェミニンなドレスではなく、腰がきゅっと締まった濃紺の軍服風ドレスなのがとにかく目を引く彼女の名は、ロメリア・ミットー。
先ほど一緒にお茶をした、ミットー公爵の長女で准将の妹──さらには、現在ミケの結婚相手として最も有力視されている女性だ。
ひっつき虫だらけの令嬢達よりずっと身分の高いロメリアさんは、じろりと私を見て言った。
「邪魔ですわね。そこをおどきなさい」
「あっ、ごめんなさい!」
慌てて道を開けると、彼女は編み上げブーツの踵をコツコツ鳴らして横を通り過ぎていく。
固まる令嬢達には、目もくれなかった。