「まあまあ、殿下。おタマにご自分の目の色のものを身に付けさせるなんて、憎いですわね」
「それが、タマに一番似合ったんだ」

 イヤーカフには、小さな青い石が付いていた。
 目利きのロメリアさんが言うには、ただの石やガラス玉ではなく、正真正銘の宝石らしい。
 すると、私の向かいの席に座ったネコとソマリが、にゃあん、と揃って鳴いた。

『当然じゃな! このおネコ様の一の娘たる珠子を飾るには、一級品こそがふさわしい!』
『よくお似合いですわ、珠子姉様』

 我がことのように誇らしげなネコとソマリ──当たり前のように自分が家族として愛されている事実に、自然と頬が緩む。
 その頬を、ロメリアさんが優美な指先でツンと突いた。

「おタマったら、殿下の色を纏わされることに異論はありませんの?」
「はい。ミケに選んでもらえて、うれしかったです」
 
 一も二もなく頷く私に、ミケの顔にも笑みが広がる。
 彼はまた当たり前のように私の髪を撫でながら、穏やかな声で言った。


「タマのおかげで、実に有意義な休日になったな」