ミットー公爵夫妻やチートと別れ、私達は町の散策を再開する。
元祖チートの新たなリードは、ちょうど近くにあった革物屋で調達した。
そんな中、ふと覗いた大通り沿いの骨董品店にて、私の目は棚の上で音を奏でているものに釘付けになった。
「あっ、あのオルゴール、素敵……マルさんのお土産によさそう」
「……〝マルさん〟?」
うっかりこぼした独り言を、ミケに聞き咎められてしまう。
慌てて手で口を覆ったが、遅かった。
ミケに両肩を掴まれ、問い詰められる。
「タマ、マルさんとは誰のことだ。まさかとは思うが……」
「えっと、えっと……たぶんその、まさかだと思います……マ、マルカリヤンさんのこと、です」
誤魔化しきれないと判断した私が正直に打ち明けると、ミケがとたんにまなじりを釣り上げた。
「タマ! トライアンの時といい、お前はまた私に黙って……!」
「わわ、怒らないでください! 例のごとく、国王様のご指示なんですってば!」
私はとっさにネコの両脇を持ち上げ、顔の前に掲げる。
『お? お? やんのか? やんのか、こら!』
「タマ! お前、あの男に人質にされて怖い思いをしただろう!」
ネコのクリームパンみたいな前足を掴んで猫パンチを阻んだミケが、ずいっと顔を近づけてくる。
私はその剣幕と顔の良さに慄きつつ、もごもごと弁解を口にした。
元祖チートの新たなリードは、ちょうど近くにあった革物屋で調達した。
そんな中、ふと覗いた大通り沿いの骨董品店にて、私の目は棚の上で音を奏でているものに釘付けになった。
「あっ、あのオルゴール、素敵……マルさんのお土産によさそう」
「……〝マルさん〟?」
うっかりこぼした独り言を、ミケに聞き咎められてしまう。
慌てて手で口を覆ったが、遅かった。
ミケに両肩を掴まれ、問い詰められる。
「タマ、マルさんとは誰のことだ。まさかとは思うが……」
「えっと、えっと……たぶんその、まさかだと思います……マ、マルカリヤンさんのこと、です」
誤魔化しきれないと判断した私が正直に打ち明けると、ミケがとたんにまなじりを釣り上げた。
「タマ! トライアンの時といい、お前はまた私に黙って……!」
「わわ、怒らないでください! 例のごとく、国王様のご指示なんですってば!」
私はとっさにネコの両脇を持ち上げ、顔の前に掲げる。
『お? お? やんのか? やんのか、こら!』
「タマ! お前、あの男に人質にされて怖い思いをしただろう!」
ネコのクリームパンみたいな前足を掴んで猫パンチを阻んだミケが、ずいっと顔を近づけてくる。
私はその剣幕と顔の良さに慄きつつ、もごもごと弁解を口にした。