「──えっ? ミケ、明日はお休みなんですか!?」


 ラーガスト王国の総督府からベルンハルト王国の王城に帰還して、ようやく一月が経つ。
 この日の夕食の席で、明日はミケの仕事が休みだと聞かされた私は、膝の上で丸くなっていたネコと顔を見合わせた。
 
「と言いますか……ミケって、休みあったんですね?」
『ぬははは! ベルンハルト王国軍はブラックじゃからな!』

 私とネコの言葉に、ミケが肩を竦める。

「仕事はまだ山ほどあるんだがな……私が休みをとらないと、将官達も休まないだろう」

 彼の話では、明日は将官達も全員休みらしい。
 さらに明後日以降、下の階級の武官達も順次休みをとることになった。
 ネコがミケの肩に飛び移り、にゃあ……いや、じゃあ、と続ける。

『お前、明日はどう過ごすんじゃい? ベッドで一日ゴロゴロするなら付き合ってやらんこともない。なにせ、ネコちゃんは寝るのも仕事のうちじゃからな!』
「いや、無為に過ごすのは性に合わん。そういうわけで、タマ──」
「はい?」

 ミケはネコの毛並みを片手でわしゃわしゃ撫でると、私に向き直って言った。

「町へ行くか」