「随分と勝手なことを言ってくれるな」
「「「で、殿下……っ!?」」」


 最後にバラのトンネルを潜ってきたのは、ベルンハルト王子ミケランゼロ──ミケだ。
 ミケは、ロメリアさんとメルさん、元祖チートも追い抜いて先頭までやってくると、当たり前のように私の頭をなでなでしながら言った。

「タマに部屋を与えたのも私ならば、ベルンハルトで保護すると決めたのも私だ。それに文句があるというならば、そちらが出ていけばいいのでは?」
「「「そ、それは……」」」

 王子にじろりと睨まれた令嬢達は、腰を抜かしたみたいにその場にへたり込んでしまう。
 そんな彼女達を容赦なく踏み越えて、ネコ達が澄ました顔をして戻ってきた。

『はー、どっこいしょー。やれやれ、今日もいい仕事をしたわい』
『かーちゃん! おれのしっぽに付いてるオナモミ、とってほしいにゃ!』
『ねえ、メル。わたくしの額にも何か付いておりませんこと?』

 チートのしっぽに付いていたオナモミは元祖チートが、ソマリの額のはメルさんが取り除く。
 ミケは飛びついてきたネコを抱えると、顔を見合わせてにやりと笑った。

「なかなか容赦がない。実に、結構なことだ」
『げっへっへっ、お褒めに与り光栄ですじゃ』


 このすごく悪役っぽい一人と一匹──私のモンペである。