「タマコ殿は、こちらの世界に来る以前はネコと触れ合う仕事に従事していたのですよね? ネコと一緒にいられる仕事かぁ……想像するだけでも夢のよう……」

 ふわふわモフモフのネコパラダイスを思い浮かべているのだろう。
 准将の言葉に、他の将官達も子ネコに頬擦りをしながらうんうんと頷く。
 一方、私はカップをソーサーに戻して遠い目をした。

「そうですよね……私も、最初はそう思って働き始めたんですけど……」
「なんだ。想像していたものとは違ったのか?」

 やっと紅茶に口を付け始めた猫舌のミケが問う。
 私は、その目元の隈が随分薄くなっているのにほっとしつつ頷いた。

「猫のお世話以外の業務で、行き詰まっちゃいましたね。時折、猫に負担をかける行いをする困ったお客さんがいて、そういう場合は私のような店員が対処するんですけど……」

 例えば、無理矢理抱っこしたり、フラッシュを焚いて写真を撮ったりといった行為は、猫に過剰なストレスを与えることになり、体調を崩す原因にもなる。
 勝手に持ち込んだ餌を与えるなんていうのも論外だ。しかし……