『うにゃあん、もっとぉ……もっと、撫でてほしいにゃあーん』
「アッ、ハイ……」

 元祖チートはさらに、ゴロンと仰向けになって甘えてくる。
 妙に色っぽいイケボと目の前に差し出された大きなお腹に怯みつつも、私はせっせとそれを両手で撫で回した。

『あーっ! そいつだけ、ずるいにゃ! 珠子ねーちゃん、おれも! おれも、撫でてほしいにゃんっ!』
『わたくしもお願いしますわ、珠子姉様!』
「「「ミー! ミー、ミー!」」」

 すかさずチートとソマリが、左右から私の腕に前足をかけて立ち上がる。
 子ネコ達も、一斉に私の体をよじ上り始めた。

「わあ、わああ……私の弟妹、可愛いいい……!」

 ベンガルっぽいのに、ソマリっぽいの。そして、真っ白な子猫っぽいのに全方向から甘えられ、私は思わずデレデレしてしまう。
 するとここで…… 

『たっ、珠子! 我もっ……!』

 ネコが子供達を押しのける勢いで、我先にと肩に上ってきた。
 私の後頭部に顎の下を擦り付けつつ、ニャンニャンと殊更騒ぎ立てる。

『我も我も我も! 我も、撫でろーっ!!』
「はいはい、チートとソマリと子ネコ達の後でねー」
『いやじゃっ! 先に撫でろ! この母を、一番に撫でろーっ!!』
「いや、大人げないな……順番に撫でまーす! 並んでくださーい!」

 などと言い交わしつつ、バルコニーにて大小のモフモフをせっせと撫でて回る。
 そんな私を、部屋の中からはいくつもの目が見ていた。