「どんな猫ちゃんなんでしょう。会ってみたい……ミケ、時間ができたら探しに行ってきてもいいですか?」
「いいわけあるか。公爵の話を聞いていなかったのか。大型で獰猛で手に負えんと言っただろう。タマなんぞ、頭からバリバリ食われて終わりだぞ」
「頭からかぁ……」
「気にするところはそこか?」

 私とミケのやりとりに、ミットー公爵が声を立てて笑う。

「ははは……確かに、タマコ殿お一人でレーヴェを探しに行くのはお勧めできませんなぁ。恥ずかしながら、私は昔、痛い目を見たことがありましてね。確か、今の殿下くらいの嘴が黄色い年頃でしたでしょうか」
「今まさに私の嘴が黄色いと言われているような気がするのだが、気のせいか?」
『ぶぁはははっ! 随分とかわいげのないヒヨコじゃのう!』

 じとりと胡乱な目を向けるミケに、ミットー公爵は満面の笑みを返す。
 そこにやってきて爆笑したネコには、子ネコ達がむぎゅっとくっ付いた。
 ネコの腰の付近に毛玉ができているのに気づいた私は、後でブラッシングしてあげようと思いながら、自分のカップにも紅茶を注ぐ。
 ミットー公爵は、目の前に箱座りしたネコの毛並みをゆったりと撫でながら続けた。