そのとたん、ドドドドッとさらに凄まじい音を立てて、丘の左手より軍勢が現れる。

『おおっ! あれは──我らネコの下僕達じゃっ!!』

 ミケの肩の上にいたネコが、打って変わって喜色満面で叫んだ。
 黒い軍服の中隊──ミットー公爵率いるベルンハルト王国軍が到着したのだ。
 その数、二百。ラーガスト王国軍の残党の比ではない。
 総督府を目指していたラーガスト王国軍の残党は、予期せず横から突っ込んできた敵の大軍に驚いて、たちまち統率が利かなくなる。
 防戦もままならぬ彼らを、ベルンハルト王国軍はあっという間に一網打尽にしてしまった。
 ワーッ! と勝鬨が上がる。

「そんな、ばかな……」

 マルカリヤンと部下達は、ただ呆然とその光景を眺めることしかできなかった。
 彼らを見据え、ミケは──ベルンハルト王国軍元帥ミケランゼロ王子は、きっぱりと告げる。



「戦争は、もう終わったんだ」