「離してっ! あっちへ行って! 兄さんなんか……私を陛下に差し出して利を得ようとした兄さんなんか、大嫌いよっ!」
「そ、それは……」
カタリナさんは、革命軍の代表の腕の中で我武者らにもがいた。
どうやら、地方領主の跡継ぎであることに満足していなかったこの兄は、見目麗しい妹を差し出すことで、国王に取り入ろうとした時期があったらしい。
事情を知ったメイドの少女と中尉の冷たい視線が彼に突き刺さる。
『ほーう? それが今や、国王を処刑した革命軍の代表じゃとう? ぐふふふ……手のひら返しもいいところじゃなぁ』
ネコも鋭く目を細め、嘲るように言った。
「そ、それについては、すまなかった! だが、陛下も、お前をいじめた妃達ももういない! 王家で残ったのは、お前と、お前の息子であるトラ……」
「いやっ……!」
革命軍の代表を名乗っている人間も、どうやら聖人君子には程遠そうだ。
カタリナさんは泣きじゃくりながら、身勝手な兄をめちゃくちゃに殴りつける。
私は、ミケと顔を見合わせた。お互いに苦々しい表情になっている。
そんな中、カタリナさんはついに兄を突き飛ばして叫んだ。
「陛下の子供なんて、産みたくなかった! あの子が生まれたせいで、私の人生はめちゃくちゃになったんだわ! 全部……全部全部、あの子のせいよっ!」
「──いや、さすがにその言い草はないんじゃないか?」
あまりの発言に、ミケが眉を顰めて口を挟む。
しかし、相手がベルンハルト王子などとは知らないカタリナさんは聞く耳を持たず、なおも続けようとして……
「トライアンなんて、生まれてこなければよかっ──」
「そ、それは……」
カタリナさんは、革命軍の代表の腕の中で我武者らにもがいた。
どうやら、地方領主の跡継ぎであることに満足していなかったこの兄は、見目麗しい妹を差し出すことで、国王に取り入ろうとした時期があったらしい。
事情を知ったメイドの少女と中尉の冷たい視線が彼に突き刺さる。
『ほーう? それが今や、国王を処刑した革命軍の代表じゃとう? ぐふふふ……手のひら返しもいいところじゃなぁ』
ネコも鋭く目を細め、嘲るように言った。
「そ、それについては、すまなかった! だが、陛下も、お前をいじめた妃達ももういない! 王家で残ったのは、お前と、お前の息子であるトラ……」
「いやっ……!」
革命軍の代表を名乗っている人間も、どうやら聖人君子には程遠そうだ。
カタリナさんは泣きじゃくりながら、身勝手な兄をめちゃくちゃに殴りつける。
私は、ミケと顔を見合わせた。お互いに苦々しい表情になっている。
そんな中、カタリナさんはついに兄を突き飛ばして叫んだ。
「陛下の子供なんて、産みたくなかった! あの子が生まれたせいで、私の人生はめちゃくちゃになったんだわ! 全部……全部全部、あの子のせいよっ!」
「──いや、さすがにその言い草はないんじゃないか?」
あまりの発言に、ミケが眉を顰めて口を挟む。
しかし、相手がベルンハルト王子などとは知らないカタリナさんは聞く耳を持たず、なおも続けようとして……
「トライアンなんて、生まれてこなければよかっ──」