「カタリナ! お前、正気に戻ったのか!」

 ほどなく、准将と同じ年頃の男性が部屋の中に駆け込んできたかと思ったら、いきなりカタリナさんを抱き締めた。
 続いて現れたのは、ミケと大佐だ。
 上官のお出ましに、中尉が慌てて立ち上がって敬礼をした。

「タマ、ネコ、何があった?」

 中尉と入れ替わるように側に膝を突いたミケに、私はネコを指差して言う。

「ミケ、ネコがトラちゃんのお母さんを泣かせました!」
『こらぁ、珠子ぉ! 泣いたのは我のせいじゃないわいっ! 人聞きが悪いことを言うなっ! このっ、このこのこのっ!!』
「よしよし、じゃれるなじゃれるな」

 私に繰り出された猫パンチを、ミケが掴んで止める。
 ネコのパンパンに膨らんだお腹を撫でながら彼が言うには、カタリナさんを抱き締めているのはその兄らしい。
 つまり、今回トラちゃんを引き渡すよう願い出た、ラーガスト革命軍の代表だ。

「トライアンに刺されたタマに、伯父として一言謝りたいと言うので連れてきたんだが……」

 ラーガスト革命軍の代表と、十数年ぶりに正気を取り戻したカタリナさん。
 しかし、そんな兄妹の対面は、感動の再会とはいかなかった。