「あ、こ、こんにちは……はじめまして……」
トラちゃんと似た金色の瞳が、瞬きもせずに私とネコを見つめているのに気づいた。
カタリナさんは、美しい人だった。
長年心を病んでいたという通り、生気に乏しく痩せてはいるものの、その儚げな雰囲気が庇護欲をそそる。
とはいえ、彼女の心を蝕んでいた負の感情は、ネコが食い尽くしたのだ。
間もなく、カタリナさんに劇的な変化が現れる。
「ううっ……」
「まあ、カタリナ様っ!?」
ふいに、カタリナさんが両手で顔を覆って嗚咽を上げた。
慌てて駆け寄ってきたメイドの少女に、信じられないと言いたげな表情をした中尉が続く。
何が何だかわからず、私は床に座り込んだままネコと顔を見合わせた。
側に膝を突いた中尉が、興奮を抑えきれない様子で呟く。
「もう半年の付き合いになりますが、彼女が感情を表すのは初めて……自発的に動いたのも声を発したのも、これが初めてです!」
「そ、そうなんですか!?」
「これもおネコ様のお力でしょうか! すごい……奇跡ですっ!!」
『むっふっふっ、悪い気はせんなぁ』
カタリナさんは、やがてわんわんと声を上げて泣き始めた。
トラちゃんを産んで以降精神を病んでいったということだから、半年どころか十数年は正気ではなかったのだろう。
その間に肥大していた負の感情をネコが取り除いたことで、これまで堰き止められていた自我が一気に溢れ出したのかもしれない。
幼子のように泣きじゃく彼女の側で、世話係のメイドの少女も涙ぐんでいる。
そうこうしているうちに、開きっぱなしの扉の向こうからバタバタと足音が聞こえてきた。
トラちゃんと似た金色の瞳が、瞬きもせずに私とネコを見つめているのに気づいた。
カタリナさんは、美しい人だった。
長年心を病んでいたという通り、生気に乏しく痩せてはいるものの、その儚げな雰囲気が庇護欲をそそる。
とはいえ、彼女の心を蝕んでいた負の感情は、ネコが食い尽くしたのだ。
間もなく、カタリナさんに劇的な変化が現れる。
「ううっ……」
「まあ、カタリナ様っ!?」
ふいに、カタリナさんが両手で顔を覆って嗚咽を上げた。
慌てて駆け寄ってきたメイドの少女に、信じられないと言いたげな表情をした中尉が続く。
何が何だかわからず、私は床に座り込んだままネコと顔を見合わせた。
側に膝を突いた中尉が、興奮を抑えきれない様子で呟く。
「もう半年の付き合いになりますが、彼女が感情を表すのは初めて……自発的に動いたのも声を発したのも、これが初めてです!」
「そ、そうなんですか!?」
「これもおネコ様のお力でしょうか! すごい……奇跡ですっ!!」
『むっふっふっ、悪い気はせんなぁ』
カタリナさんは、やがてわんわんと声を上げて泣き始めた。
トラちゃんを産んで以降精神を病んでいったということだから、半年どころか十数年は正気ではなかったのだろう。
その間に肥大していた負の感情をネコが取り除いたことで、これまで堰き止められていた自我が一気に溢れ出したのかもしれない。
幼子のように泣きじゃく彼女の側で、世話係のメイドの少女も涙ぐんでいる。
そうこうしているうちに、開きっぱなしの扉の向こうからバタバタと足音が聞こえてきた。