「おタマが現れた時のことを思い出してごらんなさいまし。あの子は我が軍の天幕の中、何もない空間から突如現れましたわ。ネコと、ともに」
准将とメルはロメリアの背後に座り込んで、言われた通りに半年前の記憶を辿る。
「おタマによると、あの時彼女は別の世界からやってきたのだそうです。裏を返せば、元の世界では〝突如おタマが消えた〟という状況のはず」
この直後、ラーガスト王子トライアンが天幕に飛び込んできた。
珠子がミケランゼロの代わりにナイフで刺されたという印象が強烈すぎてかすみそうになるが、どこからともなく現れた彼女やネコの存在そのものが摩訶不思議なのだ。
「そして今、そのおタマとネコと一緒に、殿下は地面に激突する直前に消えました。おそらくは、半年前のおタマと同じ状況──別の世界に向かったのですわ」
そう言い切ったロメリアの肩に、ここまで傍観していたソマリが飛び乗った。
にゃあんと甘い声で泣きつつ、彼女の美しい顔に頬擦りして満足そうに言う。
『うふふ、さすがはロメリア。ご明察ですわ。おっしゃる通り、母様は珠子姉様と王子を連れて世界を渡ったのでございます──生き残るために』
あいにくソマリの肯定は、この場にいる人間達には聞こえない。
ただ、ツンと澄ました彼女と、自分の発言に絶対の自信を抱いているロメリアのツーショットを仰ぎ見た者達は、気持ちが前向きになっているのを自覚した。
准将とメルはロメリアの背後に座り込んで、言われた通りに半年前の記憶を辿る。
「おタマによると、あの時彼女は別の世界からやってきたのだそうです。裏を返せば、元の世界では〝突如おタマが消えた〟という状況のはず」
この直後、ラーガスト王子トライアンが天幕に飛び込んできた。
珠子がミケランゼロの代わりにナイフで刺されたという印象が強烈すぎてかすみそうになるが、どこからともなく現れた彼女やネコの存在そのものが摩訶不思議なのだ。
「そして今、そのおタマとネコと一緒に、殿下は地面に激突する直前に消えました。おそらくは、半年前のおタマと同じ状況──別の世界に向かったのですわ」
そう言い切ったロメリアの肩に、ここまで傍観していたソマリが飛び乗った。
にゃあんと甘い声で泣きつつ、彼女の美しい顔に頬擦りして満足そうに言う。
『うふふ、さすがはロメリア。ご明察ですわ。おっしゃる通り、母様は珠子姉様と王子を連れて世界を渡ったのでございます──生き残るために』
あいにくソマリの肯定は、この場にいる人間達には聞こえない。
ただ、ツンと澄ました彼女と、自分の発言に絶対の自信を抱いているロメリアのツーショットを仰ぎ見た者達は、気持ちが前向きになっているのを自覚した。