『んまあ、大変! 追ってきますわっ!!』
あっという間にオオカミ達を蹴散らしたレーヴェが、私達を追いかけてきたのである。
もしかしたら最初から、レーヴェの獲物はオオカミではなく人間だったのかもしれない。
「タマコ嬢、振り返らずに走って──ここで、食い止めます!」
「メ、メルさん! そんな無茶なこと……」
「いいから走って! ソマリをお願いしますっ!!」
「メルさんっ……!!」
私を突き飛ばすようにして先に逃し、メルさんが剣を抜く。
しかし、いくら彼女が強かろうと、あの虎みたいに大きな猛獣に敵うとは思えなかった。
案の定、飛びかかってきたレーヴェの牙はどうにか剣で防いだものの、その勢いと重みに耐えきれずに地面に押し倒されてしまう。
悪いことというのは重なるもので、逃げようにもこの先は崖だった。
それに……
『珠子姉様!? 何をする気ですの!? あなた、きょうだい最弱ですのにっ……!!』
メルさんが食べられるのをただ見ているなんて、できるはずもない。
「お、お、おねーちゃんの生まれた世界にはね! 窮鼠猫を噛むって諺があるのっ! 覚えといてっ!」
私は、近くに落ちていた太い木の枝を掴むと、レーヴェに殴り掛かった。
あっという間にオオカミ達を蹴散らしたレーヴェが、私達を追いかけてきたのである。
もしかしたら最初から、レーヴェの獲物はオオカミではなく人間だったのかもしれない。
「タマコ嬢、振り返らずに走って──ここで、食い止めます!」
「メ、メルさん! そんな無茶なこと……」
「いいから走って! ソマリをお願いしますっ!!」
「メルさんっ……!!」
私を突き飛ばすようにして先に逃し、メルさんが剣を抜く。
しかし、いくら彼女が強かろうと、あの虎みたいに大きな猛獣に敵うとは思えなかった。
案の定、飛びかかってきたレーヴェの牙はどうにか剣で防いだものの、その勢いと重みに耐えきれずに地面に押し倒されてしまう。
悪いことというのは重なるもので、逃げようにもこの先は崖だった。
それに……
『珠子姉様!? 何をする気ですの!? あなた、きょうだい最弱ですのにっ……!!』
メルさんが食べられるのをただ見ているなんて、できるはずもない。
「お、お、おねーちゃんの生まれた世界にはね! 窮鼠猫を噛むって諺があるのっ! 覚えといてっ!」
私は、近くに落ちていた太い木の枝を掴むと、レーヴェに殴り掛かった。