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「──私が、タマを取り戻しに行こう」
このミケランゼロの決断に、ミットー公爵と准将がすぐさま異議を唱えた。
「殿下、タマコ殿を案ずるお気持ちはお察ししますが、どうかお考え直しください。今回の旅において、殿下にはトライアン殿下をラーガスト革命軍に引き渡すという重要な責務がございます」
「僭越ながら申し上げますと、殿下にはやはり本来の目的に専念していただくべきかと」
信頼する部下達からの進言に対し、ミケランゼロはこう答える。
「陛下はもう一つ、大事な役目を私に託された──タマとネコ達を連れて総督府に向かい、ラーガストの復興に尽力する同胞を癒すことだ」
これを果たすためには、珠子の存在は不可欠である。
彼女が奪われたならば、取り戻すのもまた、自身の責務である、と。
「そして、陛下は……いや、父上は、タマが無事に城に戻ってくることも望んでおられる。私は、これを叶えて差し上げたい」
ミットー公爵と准将が、どうしたものかと顔を見合わせた。